業績2021.08.03
野原正一郎先生の論文がPLoS Oneにpublishされました!<論文タイトル>
SOCS3 deficiency in cardiomyocytes elevates sensitivity of ischemic preconditioning that synergistically ameliorates myocardial ischemia reperfusion injury
<著者>
Nohara S, Yamamoto M, Yasukawa H, Nagata T, Takahashi J, Shimozono K, Yanai T, Sasaki T, Okabe K, Shibata T, Akagaki D, Mawatari K, Fukumoto Y
<雑誌名>
PLoS One 2021; 16(7): e0254712.
<論文要約>
緊急PCI(経皮的冠動脈形成術)による再灌流療法の普及によって、急性心筋梗塞患者の予後は著しく改善しています。しかし、再灌流そのものによって心筋がダメージを受ける「虚血再灌流障害」は慢性期の心機能低下や心不全を誘発するため、解決すべき重要な課題です。再灌流障害前に短時間の虚血と再灌流を繰り返す「虚血プレコンディショニング」によって心筋梗塞サイズが縮小することは広く知られていますが、虚血プレコンディショニングによる心筋保護効果の抑制または促進因子については解明されていませんでした。
SOCS3 (suppressor of cytokine signaling-3)はサイトカイン機能調節因子であり、1997年に久留米大学で発見された分子です。我々は今回心筋特異的にSOCS3を欠損させたマウスにおいて、虚血プレコンディショニングによる心筋保護効果が相乗的に増強し、心筋梗塞サイズが著明に縮小することを見出しました。今回の知見から、心筋のSOCS3が虚血プレコンディショニングによる心筋保護の阻害因子であることが明らかとなり、心筋SOCS3は虚血灌流障害や虚血性心不全に対する新たな治療標的であることが示されました。
野原先生、おめでとうございます!