＜タイトル＞

Weakened Grip Strength over 40 Years in a Community-Dwelling Cohort in Tanushimaru, Japan

＜著者＞

TAKAHIRO YOSHIKAWA, KEN-ICHIRO SASAKI, HISASHI ADACHI, TATSUYUKI KAKUMA, SACHIKO HATADA-KATAKABE, YUUKI TAKATA, AND YOSHIHIRO FUKUMOTO

＜雑誌名＞

Kurume Medical Journal

＜論文要旨＞

握力は全身の筋力を表す一つの指標であり、握力の低下は転倒リスクや要介護リスク、全死亡率を高めることが報告されています。握力変化をもたらす恒常的な身体的変化要因に関する調査研究は少なく、握力低下の具体的予防対策も不明です。その恒常的要因を抽出するため、私たちの教室で長年に渡って定期実施している「田主丸町住民集団検診」の蓄積データを解析しました。1977年、1979年、2016年、2018年のデータを用いて、約40年間における同地域住民の身体変化や血液検査変化を解析した結果、男女共通の恒常的要因は、年齢・身長・体重・職業強度でした。男性では腹囲が、女性では収縮期血圧が追加要因でした。影響因子で補正算出した結果、2016-2018年の住民握力は、1977-1979年の住民握力よりも男女そろって低下していました。握力低下予防の生活指導を行う際には、体重・職業強度・腹囲・収縮期血圧の変化に留意する必要があるかもしれません。「田主丸町住民集団検診」開始当初から握力という身体所見に着目しておられた私たちの教室の初代教授である木村 登先生の先見の明に敬服し、その思いを今に繋げることができた研究報告の一つとなりました。

吉川先生、おめでとうございます！