＜タイトル＞

Effects of Low-dose Tadalafil in a Patient with Biventricular Heart Failure

＜雑誌名＞

The Tohoku Journal of Experimental Medicine

＜論文要旨＞

タダラフィルなどのホスホジエステラーゼ5型（PDE5）阻害薬は肺血管抵抗を減少させることで左室前負荷を増加させ心拍出量を増加させますが、左室拡張末期圧が上昇したHFｒEF症例においては、肺うっ血による心不全リスクを高めることが懸念されます。

今回、CRT-Dを含めた内科的治療を受けた、拡張型心筋症（DCM）を基礎疾患とする重症両心不全症例において、RAS系阻害剤を増量にて低心拍出症候群（LOS）を来し、一旦は減量を余儀なくされましたが、低用量のタダラフィルを導入したことで、RAS系阻害剤の増量が可能となり、自覚症状及び血行動態が著明に改善した症例を経験しました。本症例のような重症両心不全症例においては、RAS系阻害剤などの標準治療でLOSを助長することを多く経験しますが、両心室連関の維持に低用量のPDE5阻害薬が有効である可能性が示唆されました。

論文作成にあたり丁寧に指導して下さった高橋甚彌先生、福本義弘教授に心より感謝申し上げます。

古野晶子先生、おめでとうございます！