業績2019.03.08
田原宣広先生の論文がRejuvenation Researchにpublishされました!!“Serum levels of protein-bound methylglyoxal-derived hydroimidazolone-1 are independently correlated with asymmetric dimethylarginine”
生体内に終末糖化合物 (advanced glycation end products: AGEs)が蓄積すると活性酸素の産生を介して心血管疾患の発症・進展に関与しているADMAが増加することが知られています。しかしながら、AGEsにはmethylglyoxal-derived hydroimidazolone-1 (MG-H1)、argpyrimidine (AP)、Carboxymethyl Lysine (CML)、Carboxyethyl Lysine (CEL) など構造式が異なる種類があり、どのAGEsがADMAの増加に関与しているかは明らかにされていませんでした。今回、久留米大学医学部 糖尿病性血管合併症病態・治療学講座九州大学大学院 農学研究院 生命機能科学部門 食料化学工学講座との共同研究によりMG-H1、AP、CML、CEL などFreeとBoundのAGEs値を測定し、ADMAとの関連について検討しました。久留米大学病院にて検診を受けた128名において、単回帰分析では年齢、血管弾性 (CAVI)、頸動脈内膜・中膜厚、HDLコレステロール、空腹時血糖、腎機能、高感度CRP、Bound MG-H1、糖尿病治療薬内服などのパラメーターがADMAと関連があり、重回帰分析では、CAVI、HDLコレステロール、高感度CRP、Bound MG-H1は、それぞれ独立してADMAと関連があることが明らかになりました。さらに、2型糖尿病患者44名に対して糖尿病治療を6か月間行い、治療により変化したΔADMAにどのように変化した臨床パラメーター (Δパラメーター)が関連しているか検討しました。単回帰分析では、Δɤ-GTP、Δ空腹時血糖、ΔHbA1c、ΔBound MG-H1がΔADMAに関連する因子であり、重回帰分析によりΔ空腹時血糖とΔBound MG-H1が、それぞれ独立してΔADMAと関連があることが明らかになりました。ADMAとBound MG-H1は有意な関連性を持って変動することが示されました。MG-H1の毒性や作用については議論されており、AGEsの中でBound MG-H1がADMAの増加と関連していることが示された貴重な報告です。
田原先生おめでとうございます!!